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私たちの取り組み

庄内スマート・テロワール

“庄内産”で未来をつくる
~庄内スマート・テロワールのおいしいもの~ プロローグ

庄内産の商品

“スマート=賢い、洗練された テロワール=土地、風土”
「庄内スマート・テロワール」は、地域の農業者と加工業者、小売店が連携して、循環した食料自給圏を築いていくプロジェクトです。山形大学農学部が中心となって2016年に始まったこの取り組みに、ト一屋も参画しています。

庄内スマート・テロワールって?

庄内スマート・テロワールが目指す美しい未来

食卓に並んだ料理を見てみると、肉や魚、果物や野菜、油や調味料など、大半を輸入食材が占めている場合があります。これが日本の食料事情の実態で、2020年度には過去最低の食料自給率を更新しました。
こうした問題に対し「スマート・テロワール(農村自給圏構想)」を提唱したのが、㈱カルビー元会長の故松尾雅彦さんです。
松尾さんは「地方、農業にこそまだまだ成長の余地がある」と、全国一律の農村開発の発想を転換し、地方で“生産も加工も消費もする”循環型の経済圏を構想。山大農学部が研究に採り入れ、「庄内スマート・テロワール」のネットワークを形成しました。
ホームページ https://shonai-smartterroir.com/

Q.スマート・テロワールの目的は何ですか。

米の消費量の減少などによって増えた転作田や耕作放棄地を利用して、需要が高いにも関わらず、輸入割合の多い大豆や小麦、畜産物などを生産して、食料自給率を高めることです。これまで庄内から地域外に支払っていたお金を、地域の収益に代えていく。競合は輸入食品ということですね。
例えば豚肉は、50%を海外から輸入し、残り50%はほとんどエサを輸入して日本で育てています。エサも豚も日本で自給しているのはじつに6%。エサから地域で作って消費することで、地域内で完結できる経済圏をつくることを目指しています。

浦川修司さん

〈お話を聞いた方〉
浦川修司さん(山形大学農学部教授)

Q.スマート・テロワールの取り組みは、庄内と他県の2カ所だそうですね。

庄内は庄内平野が広がる水田地帯ですから、畑作への転換は受け入れられないのではと最初は思いました。ですが、山から海へのなだらかな部分をのり面にした水田がすでに荒廃していたため、そこを畑地化して利用しようと。水田と畑地が共存できれば、スマート・テロワールを庄内で始めることに意味がありますし、日本でも有数の稲作地帯で成功すれば他地域への波及効果も大きいですからね。

水田風景

Q.どんな商品を、どんなメンバーで作っているのでしょうか。

生産者、加工業者、小売店、そして研究部門を担当する私たち大学です。
「畜肉」「小麦」「大豆」の3つのチームをつくって、ウインナー・ハム・ベーコン、麺、味噌をそれぞれ商品化しました。

Q.豚肉や小麦、大豆をそのまま販売するのではなく、加工品にするのはなぜですか。

スマテロは、輸入食材を庄内産に置き換えることが目的です。豚を精肉で販売すれば、庄内豚や地元企業のブランド豚と競合になって地域内での同士討ちになります。それはしません。
今の世界は市場経済で強いものが勝ち残る仕組みですが、スマテロの根底にあるのは「互酬経済」です。誰かが独り勝ちする関係性ではなく、地域全体で支え合う。みんながウインウインの関係で、協力して地域産業を築いていく。それが、地域の活性につながるという考え方です。

Q.生産から消費まで地域内で完結して循環する。その仕組みはどのようになりますか。

スマテロには、耕種農家と畜産農家の「耕畜連携」、農業者と加工業者の「農工連携」、加工業者と小売店の「工商連携」、そして「地消地産」の4つのピースがあります。
農家が育てた作物を地元の企業が加工して、小売店で販売します。また、規格外品や、契約栽培量以上の余剰分を豚のエサにして、豚の排泄物は堆肥にして畑に戻します。

Q.生産から消費の循環、エサからたい肥の循環と、さまざまな「環」がありますね。

地産地消イラスト

その中心にあるのは顔が見える関係づくりです。安全な原料から安心な加工食品ができる、当たり前のことですが大事なことですよね。
畜産物でいえば、エサが安全でなければ動物は倒れてしまう。倒れなくてもそれが畜産物となって人の口に入ります。スマート・テロワールは、豚を育てている人の顔が見えて、豚が食べるエサをつくっている農家さんの顔が見える。川下から川上まで見える取り組みです。

Q.スマテロが「地消地産」を掲げているのはなぜですか。

「地元で消費するものを地元で作っていこう」ということですね。そのためには、消費者の望むものを作って、消費者がその商品を愛して支えてくれる働きかけも必要になります。
厳しい国際競争の中で日本の農業と農畜産物が生き残るためには、生産者が安全でニーズに合わせた生産を行い、消費者は生産者が収益を確保できる再生産可能な価格で買い支えていくことが重要です。それによって地方も農業も盛り上がっていくと考えています。

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